谷津干潟から見る、日本に現存する湿地帯を知る

谷津干潟から見る、日本に現存する湿地帯を知る

人工干潟の存在

干潟を作る案も

こうした生物の多様性、さらには水質の浄化や海岸線の保全といった点、そしてレジャーなどの保養を楽しむというと意味でもその価値が改められるようになっていった。干潟の価値に気づいたことはいいことだが、その頃にはすでに自然に構築された干潟は見る影もなく大半が埋立地として作られてしまい、全国的に見ても条約などに登録されている地域は40にも満たない数しか存在していない。これ以外にも存在しているかもしれないが、自然界としてみた場合に湿地帯として好条件でありさらに重要な要素が含まれている箇所となるとさらに数が絞られてくる。かつては埋め立ててこそ価値があると見られていた干潟をいまさらになって大事だから保存していこうとする動き、これを偽善と取るかどうかはその人次第だ。少なくとも、自然無くして生きていけないという事実だけを取り上げれば、その理由をようやく悟ったかといった感じでしょう。思う分にはいいことのように見えるが、それも少しばかり遅かったのは否めない。

そうした中で干潟を作っていこうとする動きも出てきているという。それが『人工干潟』と呼ばれる、人為的に構築された干潟を全国的に増やしていこうとする動きがある。これは日本各地で行われ、東京湾においても同様に干潟を作っていこうとする動きもあった。そしていくつかの人工干潟が全国に何箇所か造られたが、人工的に作られたものと自然的に構築された干潟ではまったくもって別物となっている。

水鳥を見に行こう

東京都内にもある人工干潟

人工干潟は何も地方に作られているわけではありません、むしろ都会に位置するところの海に面している地域に作られていることもある。東京都内にもそんな人工干潟は存在している、春先から夏場まで手軽に訪れる事ができる観光地としても知られている『葛西海浜公園』もまさに人工干潟の1つだ。

東京湾には干潟は先に話した谷津干潟だけしか、自然的に出来たものはありません。けれどもそれも1960年代頃より始まった高度経済成長以前の話だ。明治期には東京湾にも面積として136km2といった広大さを有していた干潟があった、そこはまごうこと無く天然の干潟として当時の人々にとっては貴重な環境として見られていました。しかしそれも時代の変化と共に価値が喪失していき、いつしか開拓するために埋め立てが行われていきます。

こうした活動が谷津干潟にも及ぼうとした時、巻き起こったのが先ほども話した谷津干潟の保全が行われるまでの歴史的な経緯に遡れる。先述話した葛西海浜公園が形成されたのは1989年のこと、つまりこれ以前から干潟について間違った見方をしていたとほとんど認めたといっても過言ではないのです。自然界を蔑ろにした埋立地により確かに人間の経済成長は促せましたが、それと同時に危機的状況を自ら作り出してしまったことにも繋がっていくのです。人工干潟が抱える問題点としてあげられるのは、そうした課題をどのように解消していくかが鍵となっている。

人口と天然の差

自然に構築された干潟と人為により作られた干潟の大きな違いは『砂』だ。河川によって陸域からの土砂の供給と海流によって流出する干潟の土砂が、絶妙なバランスによって交じり合って構築されている。その配合は人間が理想とする干潟の参考値として立てられますが、人為的に構築される干潟ではそのバランスを維持するのは容易ではない。元々干潟がある箇所ではそうしたバランスが生まれる要因はたた存在していますが、人工的に作られた場所ではそうしたバランスが生まれるように維持するのも人間が自分たちの手で行っていかなくてはなりません。

これがどれほどの労力を要するか、その点は敢えて触れないでおこう。わかりきっている結末ほど触れても面白いことはないので、とにかく大変だということだけを理解してもらえればそれで十分だ。

地盤沈下という問題

また自然と人為の違いはこんなところにもあるが、干潟が元よりあるところと後天的に作られたところとでは地盤の状況も異なっている。後者が一番危険で、その最たる例となるのが地盤沈下という問題だ。これが発生すると干潟面積が減少していき、台風などの侵食によって干潟としての機能が損なわれてしまうのも危惧されている点となっている。このような点も解消できるよう研究が推し進められていますが、自然により生み出される現象を人間が再現するとなったら知恵に知恵を重ねて見つけ出さなくてはならない。

潮干狩りしよう

それでも必要

干潟を作ること、それはかつてこの日本でも確認できた生物たちを呼び戻そうとする取り組みにも繋がる。いくら全国、谷津干潟のようにラムサール条約にて登録されているようなところであっても、中には自然環境システムの変化により、失われた生物が存在しているかもしれないのです。また過去に訪れたことのある生物を呼び戻せるのではないかと考えられていますが、見通しとしてみるとあまり先行きが明るいとは決して言えないだろう。

だからといって失われて良いとは言えないため、現在でも多くの課題が存在していながらも何とか干潟を全国的に再建できるように取り組みが継続している。