谷津干潟から見る、日本に現存する湿地帯を知る

谷津干潟から見る、日本に現存する湿地帯を知る

湿地帯としての価値が評価

ラムサール条約って何だろう?

かつてはどうしようもないほど汚れきっていた谷津干潟だったが、森田氏を始めとした保護団体の小さな活動から地元住民を巻き込んで活動し続けたゴミ拾いにより、干潟として申し分ないほど回復するようになる。やれば出来るではないか、なんて高みの見物程度に思ってしまうのは当時を知らない人間の価値観なのかもしれない。ただどんなに酷かったのかと想像するのはたやすいため、惨状の慮ればよくもここまで再生したといったところだ。さらには活動が実を結んだきっかけとして、国の鳥獣保護区として認定され、さらには国際条約である『ラムサール条約』にも重要湿地として登録される。経緯からすれば国としては、県の財政活発が出来るなら開発もやぶさかではない、などと考えていたのかもしれない。それこそ裏では何かしらの取引が行われていた可能性だって憶測すら立てられる。この前後に県内にある建設企業の中には、干潟の開発工事を予定していたところは大損害どころの話ではないだろう。そうした思惑も全て一人の人間を中心とした折れない心情によって成し遂げられた形、そういう意味でも谷津干潟が持つ意味は大きい。

さて、そんな谷津干潟が国際条約である『ラムサール条約』に登録が決まったのは1993年頃、これによってより一層保護活動を重点的に『しなければならなくなった』と言える状況が構築された。意味はあった、ですがそれ以上に条約として正式に認定されたならそれを維持し続けなくてはならないため、ここからがそれこそ本腰を入れて県としても市としても対策を考えていかなければならないところとなっている。団体としてもより保全活動をするためにはどうしたらいいのかを提示していかなければならなくなったわけですが、そもそもこのラムサール条約と呼ばれるものは一体どういう条約なのでしょう。

気になったので、ここで少しラムサール条約について話をしていこうと思います。

水鳥を見に行こう

特に水鳥の生息地として

ラムサール条約についてですが、これは主に湿地の保存に関して敷かれた国際条約となっています。そのままですが、何も湿地帯全てを保全していくことが理念となっているわけではありません、当然条約として主題となる保護目的と対象が存在しているのです。何かというと、それこそ水鳥の生息地と生態系という2つの観点から考えた湿地帯としての価値を守っていくことだ。湿地帯と呼ばれるところなら、日本にも谷津干潟以外にも存在しているし、グローバル視点となったら数えきれないほどの干潟が存在しているだろう。その中でも特に水鳥達にとってこの上ない最適な環境となっている湿地帯と認定されなければ、当然ラムサール条約にも該当しない。

以前までの谷津干潟であればこんなラムサール条約に登録されるなど誰も思わなかったはず、ヘドロで汚染され尽くされ、あちこちにゴミが散乱している干潟では水鳥の生態など観測することも出来ません。地道な活動から登録までの時間を考えてもおよそ30年以上要して、やっとの思いで登録されたと見るべきなのです。自然団体としても認められるようになるまで回復できたと自負できた瞬間は、喜びで一杯だったのかもしれませんね。

登録されるための条件として

登録されるためには勿論条約が定義している条件をクリアしなければ認定されることはありません。では登録されるためにはどのような条件を満たしていれば、重要な湿地帯とみなされるのか、基準となっているグループとして2つに分かれています。

基準グループAの場合
  • 『代表的かつ希少な、または固有の湿地タイプ』を含んだ地域が登録条件となっている。
基準グループBの場合
  • 『生物多様性保全のために国際的に重要な地域』が登録条件として課されている。
基準例:種と生態学的群集に基づく基準
  • 危急種、絶滅危惧種、または近絶滅種と特定された主、または絶滅の恐れのある生態学的群集を擁している
  • 特定の生物地理区における生物多様性の維持に重要な動植物の個体群を擁している
  • 生活環境の重要な段階において動植物種を支えている、または悪条件の期間中に動植物に避難場所を提供している
水鳥に基づく基準
  • 定期的に2万羽以上の水鳥を擁している
  • 水鳥の一の主、または、亜種の個体群において、個体数の1%を定期的に擁している
魚類に基づく基準
  • 固有な魚類の亜種、主、またはか、生活史の一段階、種間相互作用、湿地の利益、もしくは価値を代表する個体群の相当な割合を維持し、それによって世界の生物多様性に貢献している
  • 魚類の重要な植物源であり、産卵場、稚魚の生育上であり、または湿地内、もしくは湿地外の漁業資源が依存する回遊経路となっている場合
その他の基準
  • 湿地に依存する鳥類以外の動物種の1種または亜種の個体数の1%を常に支えている湿地

潮干狩りしよう

谷津干潟の場合

上記のような条件を全て、ではなく1つでも満たしていれば登録されると見ていいだろう。簡単そうに見えてそうでもないだろう、なにせ頻繁に汚されやすい場所と考えれば維持するだけでも時間と労力が必要となります。それこそ谷津干潟のような場所も30年という長すぎる戦いに勝利して初めて認定されたと思えば、道程の遠さも実感できるはずです。

そんな谷津干潟の湿地として特に重要とされているのは、チギ類やチドリ類といった渡り鳥たちの生態を知る上で重要な生息地としての価値が判明したことで、国の鳥獣保護区としても登録され、さらにはラムサール条約にも登録が決定する。干潟としては世界でもかなり歪な部類に位置するものとなっているため、そういう意味でもこの干潟はある意味希少な価値を有しているのかもしれません。